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大工が語る大工の昔ばなし
建物は”結い”によって
昔はですね、今でいえば製材所とかなんとかあるわけですけど、製材所のなかった以前は、まぁ近所は互いに動力をだしあってですね。
だいたい“結い”というですよ。「自分の家すっけんが加勢にこんか」って、そいぎ、「私の仕事の時はおまえが加勢にきてよかたい」っちゅうふうでよかふうにですね。・・・そりゃぁ大工さん左官さんの家ばかりじゃなかけんですね、一般の所は、やっぱ一般の労力奉仕ですね。
材木の手配
自分のもち山を持っている人は、自分のもち山から、「あそこに山があるから」っちゅうなことで。まぁ今はほとんど山師さんはおられんことになって、その当時は、山師さんが山の世話をしてですね、・・・その人たちに、家主さんも頼むわけですね。製材所って言う所は、ほとんどなかったもんですから、山師さんが材木の手配してですね、・・
木づくり
小屋に運んで。大工が“ちょうな”、その現物をもっとるばってん。まずあらかたの寸法にとってですね、後はカンナでしあげげよったですもんですもんね。
この仕事はですね、終戦後24年ぐらいまでは、そのちょうなは使いよったですもんね。
仕事時間
今の人は8時から夕方の5時半か6時ぐらいで止めるですけど、昔の大工さんって言うたら日の出かけから始まって日が暮れるまで、12時間ぐらいしよんさったじゃなかですか。
それで考えのある人は、夏が労働時間の長かけん、夏にわざわざ雇うところもあったらしかばってん、大工は夏は夏で朝が早かばってん、途中は昼寝でもして・・・。
そん当時は日当ですね、1日いくらでするけんが、なるだけ朝はようから晩おそうまで仕事しよれば、人気のでるわけですね。
弟子入り
昔は住み込みでしたが、乗りもんが普及した後には、通いが多なった。
給金は、盆、正月か、ちょっとお祭りのごた一時にですね。
仕事のなか時、休みの時は道具の手入れをしてみたりですね。職人さんの休みの時は、昼寝の時間にも弟子は道具の手入れをしてみたりですね。
それから親方が農業の場合には、手伝いですね、家畜の世話をしてみたり、子守までやらされたりって昔は聞きよったですね。戦後は、そんな話は聞かんかったばってん、農家の手伝いとか家畜の世話はやっぱりしよったですね。